投資

トレーダーの意識も考えよう

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インド・中部の3州 (マハラシュトラ、アンドラプラデシュ、オディッシャ )

【開催報告】5/11 世界フェアトレード・デーにSDGsを考えよう!~オーガニック&フェアトレードコットンの現場から~

【開催報告】5/11 世界フェアトレード・デーにSDGsを考えよう!~オーガニック&フェアトレードコットンの現場から~

イベントの様子

参加者の様子

販売の様子

販売ブースの様子

前半:トークセッション

講演:「コットン畑で何が起こっているの?~農家の経験から~」

ラレー・ペッパーさん

テキスタイル・エクスチェンジ代表 ラレー・ペッパーさん

発表:「児童労働のないコットンを目指して」

認定NPO法人ACE インド プロジェクトマネージャー 田柳優子

ACE田柳優子

ACEはインドのコットン生産地とガーナのカカオ生産地で児童労働から子どもを守る活動をしています。これまでに2,285人の子どもを児童労働から解放して教育につなげ、13,000人の子どもの教育環境を改善してきました。SDGs(持続可能な開発目標)のゴール8、ターゲット7では「2025年までにあらゆる形態の児童労働をなくすこと」が目標となっており、ACEもこの達成に貢献すべく活動を行っています。

児童労働をなくすためには、児童労働を生み出す構造自体を変える必要があり、そのためには先進国のビジネスが変わる必要性があると考えています。インドの児童労働がなくなった村で栽培されたオーガニックコットンを製品化し、製品の代金の一部が児童労働をなくす活動への寄付になる仕組みづくりを目指し、興和株式会社と「Peace India Cotton」の取り組みを行っています。

発表:「サステナブルなコットンとは」

テキスタイル・エクスチェンジ理事 稲垣 貢哉さん

稲垣 貢哉さん

テキスタイル・エクスチェンジは、企業が 少しでも環境に良い繊維を使うことで環境への害を減らしてくために、綿だけではなくウールやダウン等でもサステナブルな繊維の普及活動を行っています。中でも綿は、その中核を担う繊維です。インドはコットンの生産量が世界一です。世界の64か国で綿花が栽培されており、総生産量は2300万トン、1ヘクタールあたり788kgの生産量です。この数値はオーガニックで達成できると思っています。

① オーガニック
② フェアトレード
③ コットン・メイドイン・アフリカ(Cotton made in Africa=CmiA)
④ ベター・コットン(BCI: Better Cotton Initiative)

現在、この4つがコットンの全生産量の18%を占めていますが、そのうちオーガニックコットンは世界のコットン生産量のわずか0.5%、フェアトレードコットンはさらに少ない割合となっています。その理由として、価格が高いことや需要が少ないことが挙げられます。 テキスタイル・エクスチェンジ では、CmiA( Cotton トレーダーの意識も考えよう made in Africa)の生産農家 に対し、オーガニックやフェアトレードのコットンに変換していくように呼びかけています。BCI( Better Cotton トレーダーの意識も考えよう Initiative) の生産量は年々伸びており、全体の綿花生産の15%を占めています。

講演:「作り手から買い手までをつなぐビジネスの挑戦」

ピープルツリー(フェアトレードカンパニー株式会社)代表取締役社長 ミニー・ジェームズさん

ミニー・ジェームスさん

ピープルツリー創業のきっかけは、私が初めて日本に来た時に感じた過剰消費への違和感でした。イギリスでフェアトレードに触れていた私は、まずは日本での情報発信から始めました。そして少しずつ、フェアトレードの商品を海外から仕入れてはアースデイやFUJI ROCK FESTIVAL等にブースを出展してフェアトレードを紹介・販売し、広めていきました。

後半:パネルトーク

岡ゼミからの発表

パネルトーク

*モデレーター
胤森なお子さん[グローバル・ヴィレッジ代表]

*パネリスト
ラレー・ペッパーさん[テキスタイル・エクスチェンジ 代表]
岡通太郎さん [明治大学農学部食料環境政策学科 講師]
稲垣貢哉さん[テキスタイル・エクスチェンジ 理事]
田柳優子 [認定NPO法人ACE トレーダーの意識も考えよう インドプロジェクト担当]

コットンイベント_パネルトーク

生産が行われる現地での活動について

[稲垣]児童労働がなくなっても畑には農薬がたくさん残っているので、問題を改善するためにオーガニックに取り組んでいます。オーガニック認証は目的ではなくツールであって、畑の農薬をなくすことが目的です。

[田柳]ACEは現地のNGOと共に活動し、村の住民の意識が変化したので、活動した村では100%子どもが学校に行くようになりました。プロジェクト終了後も定期的に様子を見に行きフォローしています。

[ジェームズ]現地との生活習慣の違いを認識することと能力構築が重要です。
28年前は日本ではフェアトレードはどこにも知られていませんでした。一握りの変わった人がやっていた状況から一般に開かれましたが、日々どうしたら普及できるかを考えています。ワンピース1枚がサンドイッチより安いという社会ではなく、物の価値をしっかり理解して大切にする社会にしたいです。

[ペッパー]オーガニックコットンのシェアは現在0.5%ですが、今後消費・認知が上がりシェアは増えていくと思います。今の価格構造が深刻な貧困を生み出している状況を理解する必要があります。投資をすることで変化が生まれることを願っています。

[ジェームズ]消費者がいつでもほしいときに買えるようにするビジネスモデルになっているため、消費者の手に渡らない廃棄が増えています。農薬や化学肥料を使って大量生産しているからモノが安いのです。環境汚染や人の搾取は商品の対価に含まれていません。その負担を生産者が被っている現状があります。

[岡]消費者は安いものを買うことが満足なのでしょうか?経済学では同じ金額で多く買えるほうが効用が高いとされていますが、思い入れがある場合、買える数量が少ないほうが効用が高いという結果が出ています。経済学はこの辺りをクリアにしていくことが必要です。

認証に関して

[稲垣]コストが高いので大きな組織でないと認証導入は難しいのが現実です。

[ジェームズ・胤森]フェアトレード組織は小さい組織が多いが、小規模の団体がお互いチェックすることで費用を軽減するという工夫をしています。

本イベントは株式会社アバンティ、株式会社Control Union Japan、一般財団法人ケケン試験認証センター、興和株式会社、株式会社新藤、豊田通商株式会社、西染工株式会社、旭化成株式会社のご協賛、平成31年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催しました。

「当事者意識」を持って行動すれば、きっと世界の誰かが幸せになってくれる――フェアトレードに取り組む 藤原愛の仕事論(3)

それで、半年くらい経った時にもうそろそろ本気でやばいかもと思って、現地パートナーに「だいぶ在庫が溜まっているので、買い取るのは2ヶ月に1回でもいい?」って正直に全部話したんです。そうしたら、「うん、大丈夫だよ、休憩してもらっていいよ」と言ってくれて、 「今はもうダイナマイトやしびれ薬を使って漁をする人は誰もいなくなったよ」と教えてくれました。 さらに、「アリガト、アイ~!」と村長が日本語で語っているボイスメッセージも送ってくれたんです。これを聞いた時はうれしすぎて、思わず涙が溢れ出て止まりませんでした。

──日本からインドネシアに渡ってからはかなりつらいこともあったとのことですが、もし、カポポサン島に出会ってなかったらどうしていたと思いますか?

経営状態は今もギリギリ


──愛さん自身の現在の経営状況について教えてください。このフェアトレードビジネスを始めてから4年ですが、トータルで赤字にはなってないんですか?

──今でもカポポサン島にはよく行くんですか?

──今の活動のやりがいは?

あと、私もこの活動を始めた頃はココナッツオイルを売ることが目的だったのですが、 オイルの生産工程や島民と現地パートナーと私の思いを知ってもらうことで、皆さんが自身の消費行動やライフスタイルを考え直すきっかけになっていると感じられる瞬間があるんです。 それがすごくおもしろいなと。私も自分でココナッツオイルを作る前までは何にも考えずにスーパーで買い物をしてたのですが、自分で原材料まで把握して商品を作った時に、添加物や保存料などは何も使わずに最初から最後まで手作りで商品を作るという行為がどれだけ素晴らしく、尊いかに気づいたんですよね。そういう人たちを応援したいから彼らの作った商品を買うという生活になっていったら、いつの間にか無添加とかオーガニックが当たり前になったんですよ。そうじゃなきゃいけないという思想からではなく、自分自身が同じように商品を作っているから、彼らを応援したいという気持ちで自然にそうなったんです。

真のフェアトレードとは何か

──フェアトレードをやっていくうちに愛さん自身も変わっていったと。

──フェアトレードって一般的には途上国で搾取されている人たちを解放するためにやるというイメージが強いですが、必ずしもそれだけではないと。

そうです。フェアトレードは、過去の私がそうだったように、誰かを助けたいという気持ちで始める人が多いので、どうしても支援というニュアンスが強くなりがちです。 でも、みんなが当たり前のようにフェアトレードと呼ばれているような仕組みのビジネスをしていたら、搾取されて苦しむ人がいなくなるので「フェアトレード」と言う必要もないんですよね。 最初にこの言葉を知った時、わざわざ「フェアトレードをしよう」と言わなければならない状況に愕然としました。なぜこの世界はフェアじゃないトレードばかりなのかと。

──確かに途上国の貧困問題や搾取の問題をニュースで知っても、なかなか当事者意識がもてないというか、遠い国の話で自分には関係ないと思ってしまいがちですよね。

この一件で、 私がやってることは単純にカポポサン島からココナッツオイルを仕入れて日本で売ってるだけだと思っていたのですが、その余波は少しずつ広がっていて、気がつけば世界の顔も名前も知らない人たちと繋がっていたんです。 その時に世界は一つなんやなと確信したんです。だからテレビや新聞で報じられている遠い国の問題が自分に関係ないということは絶対にないんですよ。 自分の身の回りのことでもいいから、目の前の何かいいと思うことをやってたら、知らず知らずのうちに遠い国の誰かが幸せになってることもありうる。 食べ物でも日用品や服でもちょっと未来のことを想像して買うだけでも全然違うんですよね。それが真のフェアトレードなんだと思います。

【対談録】 東大IPC×小島武仁教授×トレードワルツ

【対談録】 東大IPC×小島武仁教授×トレードワルツ

News Picks と東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(以下,東大IPC)の取材企画にて、1月31日にトレードワルツに関わる3者のインタビュー・対談を行いましたので、その対談録を公開致します。(インタビュー中は敬称略)
関連のお知らせ :トレードワルツ × 東京大学 トレーダーの意識も考えよう トレーダーの意識も考えよう トレーダーの意識も考えよう 小島武仁氏 対談実施【NewsPicks企画】 | お知らせ | TradeWaltz
・株主:東大 IPC 古川 圭祐マネージャー(写真左)
・アドバイザリーボード:東京大学経済学部 小島 武仁教授(写真中央)
・経営陣:トレードワルツ取締役CEO室長 染谷 悟氏(写真右)

1.東大IPCについて
(記者)先ずは東大IPCを設立した経緯と、東大IPCのファンドについて簡単に教えていただけますか?
(古川)
東京大学が、2004年に国立大学法人化されたことが一つの契機です。2004年以前から、起業家教育には力を入れてはいたものの、予算面等で出来ることの限界を感じておりました。国立大学法人化により、官民一体となって、起業家教育の更なる充実、及び大学から創出される研究開発ベンチャーへの投資を目的として、東大IPCを設立しました。2020年4月に設立したAOIファンドは現在、250億円強の規模であり、東京大学がLP出資をするのに加えて、民間企業からも11社出資していただいています。今回のファンドの特徴は新規事業のカーブアウトにも焦点を当てていることで、同分野では国内VC として最大規模です。

(記者)なるほど。では大学発ベンチャーの強みは何だと思われますか?
(古川) 一番は技術力ですね。大学で培った技術は基礎研究も多いですが、それらが産業界と繋がり、社会に還元されれば大きな力となります。海外のトップ大学では産業界との繋がりが強く、共同研究や寄付が盛んに行われるため、社会課題の解決に向け得たインパクトのある事業などが盛んです。
(記者)大学発ベンチャーに関して、海外と日本では具体的にどのような差があるのでしょうか?

(古川)
比較対象によって考え方は異なりますが、国からの投資額自体はGDPの比で考えるとほぼ同じ比なので、違いは産業界からの流入です。産業界の資金やノウハウを大学に持ち込むという意味で、大学VC(ベンチャーキャピタル,以下VC)の役割は大きいと思います。最近では慶應義塾大学や早稲田大学にもVCが誕生し、日本において大学VCは勃興期であると言えますが、まずは東京大学が事業化の成功モデルをいかに早く作れるかが鍵であると我々は考えています。
(記者)小島先生の肌感として、在学中に起業したいと考える学生は増えていますでしょうか?
(小島) 私も東大OBですが20年前は、在学中の起業もそうですし、就職の選択肢にベンチャーはありませんでした。周りの多くが官僚や研究者、大企業を目指しており、現在でも、ベンチャーへの就職が増えている確固たるデータは無いのが実情です。しかし足元の肌感覚として、学生がベンチャーに興味を持ち始めているという意識の変化は感じており、私も修士課程の学生から、大学院で学んだ知見や研究をベンチャーを含めた企業の仕事で活かしたいという相談を多く受けます。しかし、その知見をうまく拾い、活用できるベンチャーは現段階では少なく、大学側で紹介しづらい状況なので、今後ベンチャーへの就職や学生自身が起業できる環境が整ってくると、その出口部分の紹介が可能になり、就職・起業状況も変わってくると思います。
(記者)東大IPCは学内出身者で構成しているイメージがありますが、今後外部組織等も巻き込む予定なのでしょうか?
(古川) はい。もちろん東大だけが全てではなく他大学、他研究機関、大企業、経営者、エンジニアなど外部の組織や人材を積極的に巻き込んでいきたいと思っています。東大IPCとしては東大出身者かどうかを気にしないオープンな立場をとっており、特に今回のトレードワルツさんとの協業などは好事例で、このような企業を我々は“東大発”ならぬ“東大着ベンチャー”と名付けています。トレードワルツさんのように外部の方に東大IPCという組織に関心を持ち積極的に連携していただくことにより、産学官で日本の大学の価値を高め、世界と戦っていきたいと思っています。私たちは収益だけでなく、日本の大学自体の在り方を変えたいと考えています。
(記者)一方でVCとして、お金儲けというエゴを抑えながら経営するのは非常に難しいのではないでしょうか?
(古川) はい。 我々は 研究型ベンチャーへの投資が多く、収益が上がるまで時間がかかるため、正直に言うと難しい側面はあります。しかし、その難しさを乗り越え、東大から他大学にも影響を与えていくことこそが我々の使命だと思っています。確かに本来はファンドなので儲ける必要がありますが、それよりも社会に利益を実装し、変革を起こすことが東大IPCの役割だと考えています。
(記者)東大IPCとして、各事業の収益化までのスパンはどの程度を想定していますでしょうか?
(古川)
スパンに関しては特に定めていません。もちろん短期間で利益を上げることがベストですが、十分な期間が必要な研究開発型ベンチャーに対して、年月を強制的に定めることによって、本来実現したい社会変革ができなくなるのは本末転倒です。そのため、我々に何ができ、何ができないのかを見極め、適切な支援のあり方を都度模索することが重要であると考えています。

2.東大IPC×トレードワルツ
(記者)トレードワルツの事業概要について簡単に説明をお願いします
(染谷)
一言で言うと、貿易実務の完全電子化を目指すプラットフォーム「TradeWaltz®」をSaaS形式で提供・運営する貿易DXスタートアップです。あらゆるモノの流通に関わる貿易実務には商社、メーカー、保険会社、銀行、物流会社、船会社、航空会社など多くの業界が携わっている中で、未だに紙書類のやり取りを行なっているアナログ業界であり、非効率な部分が多くがあるため、我々はこの現状を変えたいと考えています。 現在Amazonに代表される一般消費者向けB2C業界では電子化が進んでいますが、貿易に代表される会社間のB2B業界では電子化がなかなか進んでいないのが現状です。これまでも貿易業界では電子化が図られてきましたが、通常のインターネット技術を使った場合、安全性の面で不安が残っており、データ改ざんなどで数億~数百億円の損失が発生するリスクがあることから、なかなか電子化が進みませんでした。しかしここ数年、データの信頼性担保が可能なブロックチェーン技術を活用した多くの実証が世界中で行われ、貿易実務の電子化の可能性が示されたことで、貿易電子化という大きな市場が開き、世界はゴールドラッシュのようにこの分野の開拓を進めています。私たちトレードワルツもこれまでに日本と世界で5年間実証試験を重ね、その活用可能性を証明してきました。今後も日本勢として、貿易電子化に切り込んでいきます。

(記者)貿易業界はアナログと仰っていましたが、具体的に一つの商品を輸出入するのにどのくらいの時間がかかるのでしょうか?
(染谷) 時間で申し上げると、1商品を1回ずつ輸出・輸入する手続きに合計72時間を必要としているのが現状です。輸入者から見積書(P/O ,Purchase Order)をもらってから商品を引き渡し決済が終わるまで商社、メーカー、銀行、保険会社、物流会社、船会社、航空会社、商工会議所、税関などで多くの情報をやり取りしますが、その方法として紙やFAX、PDF付のメールなど、アナログな手続きが多く残っています。
(記者)では、貴社のプラットフォームTradeWaltz®の導入で具体的に何が、どのように便利になるのでしょうか? トレーダーの意識も考えよう
(染谷)
まず、今述べたような会社間での手続きの時間はTradeWaltzの利用により44%削減できることが既に実証されています。また貿易実務者が紙書類を扱う必要がなくなることでリモートワークが可能になります。過去、私の友人で旦那様の海外赴任の際、奥様の職場がリモートワークができないということで退職・帯同しなければいけないという事象をよく見かけたこともあり、こういった事態も避けることが可能になると思います。
(記者)ビジネスとしてどのようにマネタイズしていく予定なのでしょうか?
(染谷)
弊社のサービスTradeWaltzはSaaS形式をとっています。これまでメールや紙書類、FAXを利用していたユーザーは、TradeWaltzの利用により業務効率化メリットを享受できるため、我々はその対価として月額あるいは年額でシステムの利用のサービスフィーをいただく形のマネタイズを行っていきます。
(記者)ブロックチェーンという言葉は数年前から話題になっていますが、実装事例はそこまで聞いたことがありません。その中での挑戦ということについてはどのように思っていらっしゃいますか?
(染谷)
これまでブロックチェーン技術は、ビットコインやイーサリアムに代表されるパブリックブロックチェーンの上で行われる、仮想通貨やNFTといった一般消費者向けの投機手段として注目を集めてきました。しかし、私たちが行っているような、HyperLedger FabricやCordaに代表されるプライベートブロックチェーン上で行われる企業間の業務効率化サービスはまだまだ混迷期にあることは事実です。世界中の新規サービスを追っている、『起業の科学』の著者・田所雅之氏の言葉を借りて言えば、日本でブロックチェーンによるB2Bサービスを大規模に実装しようとしている会社はLayerXとトレードワルツだけではないかとまで言われています。日本におけるブロックチェーンを活用したB2Bプラットフォームの成否はこの2社にかかっていると激励を頂くことも多く、非常に重い使命を背負っていると感じることもしばしばです。しかしこのブロックチェーン分野で成功する企業が出なければ日本は海外のサービスにお金を払うだけの立場であり続けてしまい、国際競争力の面で大きなハンデを負うため、必ず成功させたいと考えています。
(記者)そんな中でトレードワルツはなぜ東大IPCに着目したのでしょうか?
(染谷)
弊社はブロックチェーン技術の活用はもちろん、その中に溜め込まれた大量の貿易データを用い、長期目線ではAmazonのように、ビッグデータを活用したDXの好事例になりたいと考えています。その際データという材料をうまく調理できる優秀な人材が東大にいると考え、東大IPCさんとの連携を考えました。また、企業の質は最終的には人材で決まるので、我々にとって、日本のトップ大学の一つである東京大学の人材を定期的に発掘できるコミュニティ(東大IPC)と提携できることはとても魅力的だと思いました。
(古川) 東大IPCとトレードワルツさんとの最初の出会いは、経済産業省が主催する「始動!Next Innovator」というアクセラレータープログラムであり、そのご縁で東大IPCが主催している1stRoundにも応募してくださり、ピッチを見た瞬間に「これは投資案件だ!」と社内一同確信しました。貿易という分野を超えて世界を変えるかも知れないサービスに投資しない理由がない。とすぐに投資を決意しました。

3.小島武仁教授×トレードワルツ
(記者)小島先生の自己紹介を簡単にお願いします。
(小島) はい。私は現在、東京大学経済学部の教授をしており、マーケットデザインを専門としています。マーケットデザインとは広い意味での社会の制度を設計・デザインする学問で、応用数学や経済学などをツールとしています。また、ゲーム理論が土台にあり、私はマッチング理論というマーケットの中でのあらゆるマッチングについて日々研究しています。トレードワルツさんにはアドバイザリーボードとしてお招きいただき、貿易実務に関わるあらゆる業界の中での“マッチング”について幅広く検討しています。

(記者)トレードワルツのアドバイザリーボードとして声がかった時の所感を教えてください
(小島)
正直、どうして自分に声がかかったのだろう?と思いました(笑)。真面目な話をすると、経済学に国際貿易論や国際経済学などの分野はありますが、自分はそれらの分野は専門ではありません。強いて言えばブロックチェーン関係の論文を数本書いていたので、多少の知識はありました。とは言ってもその分野の専門家ではないので、私の知見がトレードワルツさんにどう役にたつのかわからないというのが最初の印象でした。しかし話を進めていくうちに、ブロックチェーンとマッチングは違ったサービス・アプリ内容ではあるものの、信頼性のあるデータを集め・流通させるというプロセスと、そのデータの中で最適解の組み合わせを見つけるというプロセスと考えると、貿易界における最適解を見つけるために必要な、相性の良い組み合わせであると考えられ、何か役に立てるかもしれないと思うようになりました。
(記者)トレードワルツとしては今後小島先生とどのように連携していきたいと思っていますか?
(染谷)
小島先生の脳をフル活用して、貿易におけるマッチングの問題を、データを活用しながら次々に解決していきたいと思っています。具体的には、貿易が抱える売り手買い手の課題や、銀行、保険、物流、船、航空などの貿易に関わるあらゆる業界における課題です。課題の1例としては、国際物流の乱れが上げられます。昨今ニュースでも報道が増えていますが、半導体の出荷が遅れて先端機器が作れない、米国の港で船が混雑する“滞船”が激しくなり、モノが流れなくなったことで米国スーパーから物がなくなるなどの事態が発生しています。国際物流の乱れはコロナにより人の移動が制限され、旅客機が飛ばないことで貨物部に積む航空物流が減少し、海上輸送にしわ寄せがきて…といった流れで発生し始めましたが、現在は港が混雑したことで、コンテナが港に山と積まれて取り出す手間が増え時間がかかってしまい、そのうちに次の荷物が来て…とその混乱が増幅しております。こういった一つの事象が波を打つように大きな影響を及ぼすことをプルウィップ(鞭がしなる)効果と呼びますが、世界の国際物流はまさに今そのような状況になっており、このままだと国際物流は回復しない未来も見えてきます。私たちトレードワルツも貿易をデジタル化し最適化していく存在として、本課題を解決できないか、小島先生が専門とするマッチング理論を組み合わせ、海上運送のブッキング最適化サービスに落とし込めないか議論を深めています。
荷主や船会社にヒアリングをする中で、現在、船会社のスペース予約は、一般消費者が航空チケットを予約する際に空席をリアルタイムで確認できるような状態にはなっていないことが分かりました。背景として、もともとは船の空きスペースの方が積む荷物よりも多いという需給バランスがあり、空き状況の可視化が進むと値下げ交渉が激しくなるため、業界全体として不透明にした方が良いという船会社側のロジックがあります。しかし、実際に荷主や物流会社などに話を聞いてみると化学薬品と食品は同じ船に相載せできないといった組み合わせ問題がある他、一定の条件下(積載物同士の距離を離す等)では一部の組み合わせを積み合わせることもできるという物流会社・船会社のさじ加減もあり、単にスペースに追加積載すれば良いという単純問題でもないのです。ですので一定程度プログラム化しても、多くは人間の交渉や差配で船積みが行われています。この複雑な要因をすべては難しくとも、一部はマッチング理論で解決できるのではないか?と思いました。ただ、プログラム化する際の条件式等についてはさらに多くの専門家と相談する必要があり、難しい問題であることは間違いないですが、世界中が頭を悩ませている現状且つ難しければ難しいほど解決策を見出した先にある社会的インパクトは大きい為、トレードワルツとしては小島先生の叡智をフル活用し、社会問題の解決に努めたいと思っています。将来的にはトレードワルツが東大にデータを提供し、東大の優秀な学生さんにデータを分析・活用していただき、共に世界の貿易問題を次々に解決していけたらと思っています。

(記者)小島先生は貿易に関わる問題解決に向けた話し合いをトレードワルツと定期的に行ってみて、いかがですか?
(小島)
例えば染谷さんが先ほど仰っていた「船会社はコンテナに空きがあっても開示したがらない」などの、既存の理論モデルでは全く考えなかったような現場の情報を、トレードワルツさんは各貿易実務者を集め、すぐ教えてくださるので、そこが非常に助かっています。というのも、我々研究者は「その業界で現場に立つ人にしか見えないけれども、実はとても大切な部分」をすぐには把握できません。しかしトレードワルツさんとの話し合いでは、毎回現場事情に詳しいスペシャリストから直接お話が聞けるので、議論がスムーズに展開しており、とてもありがたいです。
(染谷) いえいえ、この点は弊社も小島先生に同様に感謝している部分です。小島先生から既存の業界慣習にとらわれない「こういう世界観はどうか?」という演繹の提案を頂くと、現場意見で「ここは解決できるかもしれないが、現場はこうやっている」という帰納的な回答があり、演繹と帰納の循環が高頻度で起きています。その為、小島先生との話し合いを経る度に、貿易が抱える課題の輪郭がくっきりと見え、解決策がおぼろげながら見え始めるという楽しい時間を過ごさせて頂いています。
(古川) これぞまさに研究とビジネスが両輪となって回っていくモデルですね。また、理論と現場のマッチングであるとも言え、我々東大IPCが目指している理想形です。
(記者)理論と現場のマッチングは、小島先生が普段からご自身の研究で実践されていると思います。しかし、今仰ったように、現場の声を生で聞くという機会は珍しいのでしょうか?
(小島)
はい。ここまでストレートに現場の声を聞くことができるのは非常に珍しいですね。私は長年、保育園の待機児童問題解決に向けマッチング理論を用いて取り組んできましたが、最初はなかなか現場とつながることができず苦労していました。そんな時、たまたま知り合いの市長さんからのご縁で現場の職員と繋がり、一気に解決に近づきました。しかし、自分で人脈を広めながら研究を進めるというのは非常にコストがかる為、実現しにくいというのがあります。その点、トレードワルツさんは解決したい問題を明確にし、且つ私の話を聞き入れるという姿勢をとり、現場の声を直に届けてくださる。これこそが圧倒的スピードで話が展開していく理由であり、私も非常に面白いと思っています。

4.今後の展望
(記者)最後に、今後の展開について、御3方それぞれのお考えをお聞かせください。
(染谷)
はい。トレードワルツは今後も東大IPCさん、小島先生と世界の貿易問題を共に解決していきたいと思っています。私たちはまず貿易実務者にTradeWaltzを使って頂き、貿易をデータ化していくことが先決ですが、長期目線では、データを活用してどのようにDXを促進していくか、ここを東大の方たちの知見も活かしながら進めていきたいと思っています。

(古川) 東大IPCとしては、現場企業がアカデミアをうまく使い倒せていないという状況を打開すべく、我々がロールモデルとなり、日本全体で現場と理論の融合を今後も促進していきたいと思っています。
(小島) 我々アカデミアは、これからも変わらず世の中に使える知識を生み出していきたいと思っています。そのためには企業の方々にデータ提供などに自由度を与えていただきながら協力していただきたいという思いが強いですね。個人的にはこれまで、短期的な利益を追求することのみが企業の目的だと思っていましたが、今回のトレードワルツさんとのマッチングを通して、「ここまで遠くを見据えて動く企業も存在するのか」という発見があり、個人的に企業に対しての印象も良い方向に変わった部分があります。今後も企業との協創を通じて、学生も巻き込みながら社会問題の解決に取り組めたら良いなと思っています。

FAIRTRADE フェアトレードのこと

フィリピン・マニラ

CGN
Cordillera Green Network

フィリピン・コーディリエラ

インド・中部の3州 (マハラシュトラ、アンドラプラデシュ、オディッシャ )

インド・ムンバイ

DEW Crafts
Development through トレーダーの意識も考えよう Crafts

バングラデシュ・ダッカ

KALATMAK
Kalatmak Handicrafts Self Help Group Foundation

インド・ラクノー

Mahaguthi
Mahaguthi Craft With Conscience

ネパール・カトマンズ

MESH
Maximising Employment to Serve the Handicapped

インド・デリー

インドネシア・バリ島

インド・モラダバード

ネパール・カトマンズ

インド・コルカタ

タイ・バンコク

​ノベルティにおけるフェアトレードの未来とは?

オンラインインタビュー参加者

シサム工房は、1999年に京都の郊外にフェアトレードショップとして創業。学生時代に人権や貧困の問題と出会い、バックパッカーとしてアジア、アフリカを旅した水野 代表 が、社会経済的に立場の弱い人たちとよりいい形でつながって生きていきたい、と強い想いを持ったのが始まりです。 創業以来、オリジナルの商品開発を行い、商品の質やデザイン、提案する空間にこだわりながら、一貫してフェアトレードにチャリティではなく、事業として取り組んでいます。

「フェアトレード」を発信する「場」をつくる

坂本
ビジネスを立ち上げるときからフェアトレードを軸にすると決めていたのですか? 今から20年以上前だと市場も人々の意識もフェアトレードの概念は薄かったと思います。お客さんがつくのか?勝算は?など迷いや不安はありませんでしたか?

人見
シサムの取引先、6か国13のNGOと直接やり取りをしています。 その中で、ノベルティ事業を展開するきっかけになったのがインドのムンバイのNGOです。

クリエイティブ・ハンディクラフトには訓練センターがありまして、完全無料で半年間、ミシンの訓練を受けることができます。スラムの多くの女性はミシンなんてやったことがない、学校も出ていない、言葉も通じない。でもクリエイティブ・ハンディクラフトには訓練ができる環境があり、訓練中もおこづかいが支給されます。ノンスキルでも人生を再スタートできるところが、とってもフェアトレード的なのです。

クリエイティブ・ハンディクラフトの様子

フェアトレードをノベルティに展開するってどういうことか?

水野
まず、「フェアトレードを事業にする」には、「モノがしっかりしていないといけない」ということを大前提として考えていました。フェアトレードだから品質が多少悪くても…という甘えでやっていては、事業として継続性を持てないし、逆にフェアトレードのイメージを下げてしまうと考えていました。なので、日本の市場に受け入れられる質のいいモノづくりにずっと取り組んできたのですが、一方でジレンマもありました。というのは、良いモノを作るには良いモノを作れる人=スキルがある人にしか仕事を依頼できない。ですが、フェアトレードの精神からすると、より多くの人に仕事を依頼していきたい。もっと言うと、立場の弱い人、熟練していない人にこそ、仕事を依頼していきたい、そんな思いがありました。

そんなとき、クリエイティブ・ハンディクラフトに出張に行った際に、別の部屋でエコバッグを作っている女性たちがいました。職業訓練のためにエコバッグを作っていると知ったのですが、そのときに、エコバッグを日本でも事業にすることができたら、この女性たちに仕事を依頼することができる。そしてミシンの訓練にもなる、ということを思いました。

出張から帰ってからノベルティの世界について調べたら、全く違うスピード感、コスト、安定品質。同じものを安く、早くというのがノベルティの世界でした。フェアトレードの現場でできるエコバッグは、ノベルティの世界で太刀打ちできるのだろうか?リアルに考えを巡らせました。
でも、まずやってみようと「2 smiles novelty」を立ち上げました。私たちができることを明確にしてノベルティの世界で発信していったところ、少しずつ共感していただき、注文をいただけるようになってきました。

松浦
確かにノベルティは、ロットやコスト、スピードが全く違う世界ですね。
今、いろいろな企業からご相談をいただくなかで、提案にフェアトレードやSDGsの要素をどの程度入れていくかの過渡期にきていると思います。今後さらに要望は増えていくという感覚はあります。そんな時に、「早く安くうまく」じゃない、このような価値観に共感して採用していただけるか、提案自体を変えていくタイミングにきていると感じています。もちろん採用する企業側にもジレンマはあると思います。

近藤
そこを「企画としてどう提案していくか」だと。アイテム単品で勝負してしまうと、「高い/安い」の判断になってしまうので。背景を含めたストーリーをいかに企画として伝えられるか、そこは考えていきたいですね。

坂本
まず担当者を巻き込んでいくことは大事。さらに、それが最終的に生活者の手に渡ったときに、フェアトレードのアイテムが企業・ブランドの価値向上につながらないと、コストや納期のギャップを納得してもらえないです。生活者に価値を伝えることも込みで企画化する必要があると思います。

  • 商品一点一点に説明タグをつけています。生産者の情報にQRコードからもアクセスできます。
  • 採用いただいた企業に感謝状を進呈して社内教育などに活用していただいています。クライアントの注文品を作っている様子を撮影して印刷することも可能です。

今までの営業商談のヒアリングから、どこまでの熱量で社内に企画を通せるかが課題だと感じています。担当者は熱い思いを持っていても、上層部に上げたときに「コストが高い」などの理由で見送られる。そこへのサポート、上層部に伝わる仕組みやツールは用意していきたい。追い風としてSDGsに取り組む企業が増えているので、企業判断としての採用が増えればと思います。

シサム工房伝わるツールの画像

松浦
「提案は担当者ではなく上層部」というのはヒロモリも直面しています。決裁権を持っている方に直接ご提案できるかどうかは重要で、意識しています。もう少しすると、シャワー効果で担当者レベルまで変わるかもしれないですが、まだそこまで至っていないというのが現実で、もう少し時間がかかると思います。逆にチャンスと捉えて、先んじて提案を仕掛けていきたいですね。

フェアトレード・ノベルティのオリジナリティ、課題と可能性

松浦
企業が、自分たちが伝えたいことや行動をモノに託しているのがノベルティやギフトだったときに、オリジナル要素を求められることが多く、ヒロモリは企業に合わせたカスタマイズを強みとしてやってきました。企業の思いとフェアトレードの思いを融合させる価値観。それができると広がりがあるのでは と思いますが、反面テスト試作や製造ロスなど、環境面と逆行する側面も孕んでいる。そこに踏み込むべきなのか…悩ましいですが、その可能性はあるのでしょうか?

水野
正にフェアトレード・ノベルティの課題と直結します。課題とは、価格・納期短縮・対応力だと思っていて、対応力だと、フェアトレードのモノづくりとは、ファストファッションが2か月で企画から販売まで行うとしたら、フェアトレードは1年半~2年かかる。そんなモノづくりです。
普通に相談されたら「できない」という回答になってしまう案件でも、できる限り「どんな条件ならできるか?」という発想で提案するように心がけています。そんなやりとりの中で、自分たちの意思でできることは率先してやっていく方針で、本業(商品化)にも貢献できるのであれば、リスクの中でのチャレンジもありえます。

松浦
今までのノベルティ調達の「当たり前」から考えるのではなく、「フェアトレード・ノベルティのスタンダードを受け入れていただけるかどうか?」という提案をしていく必要があるのでしょうね。「フルオリジナルでも対応できるけど、フェアトレードで実現するならこの範囲内で進めるべきですよ」ということを企業側にも理解してもらう。頭の中にあるノベルティ提案のスピードやタイミングから変えていかないと変わらないです。
でも、オリジナル製作の可能性があることは心強いし、ヒロモリの差別性にもつながるので、そこはぜひ考えたいです。

池澤
オリジナル性という意味では、それぞれの企業のストーリー×フェアトレードアイテム、中でもなぜこの団体・この生産者を選んだのか、この背景を確立して伝えられれば、それもオリジナルになると思います。

世の中のSDGsの流れが、フェアトレード・ノベルティの追い風になる

水野
フェアトレード・ノベルティ市場の将来性という意味では、間違いなくこれから伸びていくと思います。ノベルティ、記念品として配布してもすぐに捨てられるものではダメという価値観は浸透していくと思うし、「配るものに気を使わないと逆に企業価値を落としますよ」ということも理解されていくと思います。これからノベルティは、記念品+企業姿勢を示すアイコン的な位置づけになっていくのではないでしょうか。

SDGsについては、ここ1年ですごく認知が広がっていて、パンデミックも影響していると思います。当たり前が当たり前でなくなっていることに、人々が気付き始めた。国連のIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)では、各国がCO2対策に力を入れた場合でも、今後20年のうちに産業革命前からの気温上昇が1.5度を超える可能性が指摘されています。今、本気で私たちの行動を変えていかなければ地球自体が回らなくなる。特にパンデミックでは、貧困や児童労働の問題などが深刻化し、社会的弱者にしわ寄せがいくわけです。
SDGsへの対応は常識になって欲しい。フェアトレードは、SDGsの17のゴールのほとんどをカバーするので注目されるだろうし、注目されるように伝えていきたいです。

各々の「自分 ごと 化」がつくるフェアトレード・ノベルティの未来

水野
シサムのビジョンに「お買いものの力で思いやりに満ちた社会をつくる担い手となる」というのがあります。その商品を購入することで、その行動がどんな社会につながっていくのかを想像してお買い物をする。そんな人が増えていくといいなと思っています。そんなお買いものの力を意識する人たちが選択できるエシカルなモノやサービスを増やしていくことがシサムの社会的意義だし、そういう選択肢はフェアトレード以外にもどんどん増えていったらいいと思っています。
今後キーになると考えているのは、「自分ごと化」と「選択肢を増やす」ことと捉えています。

松浦
販促での大きな壁は、個人より企業の自分ごと化ではないかと思います。経営意識を変える、活動を変えるなど大きな選択をしていかないと大きなムーブメントにはならない。欧米では始まっていますが、日本がそのように動き出すには、個人と企業が変わる、企業をどう変えていくかだと思います。

近藤
自分ごと化という視点でいくと、ヒロモリを100年企業にしたいと考えたときに、今のような大量生産型でモノを製造・販売するビジネスモデルだけでは、30年後のヒロモリはないと思っています。生活者の考え方は確実に変わっているし、クライアント企業もSDGsに対する本音と建前が本音になってきているように思います。SDGsは、ヒロモリとしても生活者としてもクライアント企業としてもますます自分ごとになっていくし、それ抜きの経営はありえないと考えています。

欧米のクライアントや同業者と会議をしていて思うことは、彼らは本気。SDGsが本音になっています。そうじゃないとESGに影響するし、SDGsへの貢献が人事評価にも入っている。日本の企業も、自分ごと化がもっとスピードアップしていくと思いますし、輪が広がっていったときに、一気に変わると思います。

我々も「感動の創造」を企業のミッションにして活動していますが、うわべだけじゃなくて本気で真剣にできることから始めないといけないと考えています。例えばサプライヤーの選び方なども、中国から日本の縫製工場に一部発注先を見直す取り組みを行っていて、日本の縫製産業の支援や、高齢化する縫製加工員に仕事・機会を提供することを始めています。

水野
フェアトレードが当たり前の選択肢・価値になっていけばいい、そんなふうに出来ればいいなと考えています。フェアトレードは5方良し。作り手良し、売り手良し、買い手良し、社会良し、地球環境良し。この5方を意識してより良いモノやサービスを開発していきたいし、そんな社会にしていきたいと思っています。

(有)シサム工房 水野泰平氏プロフィール

水野氏プロフィール画像

1969年生まれ。同志社大学商学部卒、立命館大学国際関係研究科博士前期課程修了。
大学時代に南アフリカのアパルトヘイト問題と出会い衝撃を受け、人権、貧困問題に関心を持つ。
雑貨店のバイヤーを経験した後、1999年 京都の百万遍にフェアトレードショップ、シサム工房を創業。
現在、直営8店舗と卸、通販の運営を行う。

(有)シサム工房 人見とも子氏プロフィール

人見氏プロフィール画像

人見とも子
(有)シサム工房 取締役

1999年より、フェアトレードのオリジナル商品開発と輸入販売を行うシサム工房を運営。
インド・フィリピンなど、アジア6か国13のフェアトレード生産者団体と継続的な取引を行っている。
立命館大学国際関係研究科博士前期課程修了。
海外のフェアトレードパートナーとのコミュニケーション全般を担当する他、国際認証などのコンプライアンス分野や新規事業開発、社内外でのフェアトレードのストーリーテラーとして活躍している。

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